ゲイ同士の飲み会で感じる難しさについて
32歳の時だが、初めてゲイサークルの飲み会に参加してみた。
なにせ32歳時の自分にはゲイの友人はおろか、「知人」と呼べる人さえいなかった。
正確には、20代前半のころMNJだかcool boysだったか、そんなような掲示板で知り合った同い年のゲイとたまに電話をする仲だった時期はある。ただ、それはたぶんたまたまお互い寂しい者同士だったから奇妙に成立していただけの関係であり、1回だけ会ったが顔も覚えていない。
ゲイサークルというのもいろいろありそうだが、「ゲイであること」を前提としているだけに、あまねく募集をかけている類のものではなく、検索しても出てきそうで出てこない。出てきても、最終更新日が4年前とかだったりして、現在活動しているのかどうかもよくわからなかったりする。
まぁでもそんな中から探しだした1つのサークルに、これは当時の自分にとってはもう清水の舞台から飛び降りるような覚悟が必要だったが、参加してみた。
初めてその集いに足を踏み入れるときの緊張は相当なものだったけど、いざ、その輪に加わり共に行動させてもらうと、ゲイであることなんてどうってこともなく(周りが皆ゲイなのだから当然だ)、その場にただただ「居る」ということができた。
若い子から、すでにお爺ちゃんの域に達している人までいる。やけに大胸筋のでかい人、120Kgはありそうな巨漢、焼きすぎて黒すぎる人、ヒョロヒョロで吹き飛ばされそうな人もいた。
その中にあって、32歳・標準体型・地味目な服装・特にイケてるポイントなし、とくれば、あまりにありきたりであり、モテはしないが自然にその場に居ることはできた。
それまで、飲み会といっても、一緒に飲む相手は「ノンケ・または女友達」。
飲むくらいに仲の良い相手には、ほぼカミングアウト済みであったので、気安く飲むことができた。
今度は、自分も相手も「ゲイ」。
これは、本来なら盛り上がるはずだとは思う。気兼ねなく好きな男のタイプとかの話ができるわけだし、結婚だの彼女だのと詮索されて適当に濁すしかないという、ゲイにとって一番つまらない飲み会特有のアレもない。
皆が皆ではないんだけど、飲み会で酒も進み、徐々に出来上がってくるとオネエ全開になってくる。それまではノンケっぽかったのに急にオネエが入り「・・!」となったりする。そして、声がデカい(笑)。
ちなみに僕はそういう空気や、そういう人たちが好きである。その輪の中に自分が居ることを、居心地よく感じることができる。
ただ・・、困るのは、その乗りとオネエ言葉の応酬の中にあって、自分がその会話の波に乗れないことである。完全にキャラ的に埋没する。影が薄くなり、ただその場に居て飲んでいるだけの大人しいつまらない人に大体なってしまう。自分としては、その空気を楽しいと感じているのだけど、飲む相手としては不足だろう。
オネエ言葉が話せないわけでは、ない。
ただ、大きな声で面白いことが言えるスキルもない。男の話題で盛り上がれるほどに男に詳しくない。
難しいと思った。
もともと大人数による飲み会というシチュエーション自体がそれほど好きでないこともあり、なんだか自然とサークルの飲み会からも足が遠のいてしまっている。